自家消費型太陽光発電システムで本社工場の再生可能エネルギー比率50%へ

事例紹介

自家消費型太陽光発電システムで本社工場の再生可能エネルギー比率50%へ

建設業 株式会社日本ピーエス

所在地 福井県敦賀市若泉町3番地
従業員数 400名
業種 建設業
導入したサービス自家消費型太陽光発電システム
施工内容太陽光発電設備設置、レドックスフロー蓄電池との試験調整
施工時期 2022~2023年

今回は「株式会社日本ピーエス」様と取り組んだ、太陽光発電と蓄電池の導入による電力とCO2削減の事例を紹介します。

消費電力の再生可能エネルギー比率50%以上を目指す本社工場(第1BASE)のケースについて、工場改革グループの中川真文さんにお話をお伺いさせていただきました。

本社工場(第1BASE)

省エネコンサルティングの概要

2022年4月 「令和3年度補正 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」交付申請(同年7月に交付決定)

2022年10月 新工場の屋根に太陽光パネル1960枚(出力931kW)を設置

2023年1月 レドックスフロー蓄電池(出力250kW、容量は750kWh)を設置

お客様の事業内容

御社の事業内容をお聞かせください。

中川氏:弊社はプレストレスト・コンクリート(PC)技術の特殊性と将来性にいち早く着眼し、1952年(昭和27年)4月に創業しました。翌年には日本初のポストテンション工法によるPC橋「十郷橋」(福井県坂井市)を完成させ、以来PC橋梁メーカーのパイオニアとして国内のインフラ整備とともに歩んでいます。これまでに携わった橋梁づくりは、全国各地で16,000橋を超えています。

完全自家消費型太陽光発電設備を導入した理由

本社工場(第1BASE)に自家消費型太陽光発電システムを導入した理由を教えてください。

中川氏:弊社も持続可能な社会の実現を目指して脱炭素に力を入れており、環境配慮型コンクリートの利用推進や工場の省力化など、さまざまな取り組みを行っています。今回新設した工場もCO2削減を目的とした太陽光発電システムの導入を前提に計画を進めました。

当時、弊社では中小企業版SBTの認証取得にも取り組んでいて、2030年に向けたScope1、Scope2のCO2削減目標として2021年度対比で42%減を掲げました。この目標を実現するために、Scope1に対して再生可能エネルギー比率を100%にしようと社内で決定したことが背景にあります。

中小企業版SBTとは…パリ協定が求める水準に整合した、企業が設定する温室効果ガス排出の削減目標。企業の事業活動に関係するあらゆる排出量が対象となり、Scope1(自社による直接排出)/Scope2(他社から供給された電力などの使用に伴う間接排出)/Scope3(Scope1とScope2以外の、調達、製造、物流、販売、廃棄など、各段階での排出)に区分されます。

蓄電池の併設を検討したのはどうしてですか?

中川氏:BCP(災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画)対策はもちろんですが、太陽光発電だけではどうしても再エネ率が頭打ちになってしまうこともあり、蓄電池の活用も視野に入れていました。そこでさまざまなパターンでシミュレーションを行ったところ、蓄電池を併用したシステムなら再生エネルギー比率50%はいけるという見通しが得られたので導入を決めました。

今回設置したレドックスフロー蓄電池はCO2削減目的としては国内初だそうですね。この蓄電池を導入した決め手は何でしたか?

レドックスフロー電池(蓄電池)

中川氏:タイミングよく小型のコンテナタイプが登場して、費用的に検討可能になったことですね。レドックスフロー蓄電池は国内の民間企業での導入かつ太陽光発電との連携は珍しいと聞いていますが、弊社の社長が以前から知っていて興味を持っていたこともあり、新しい技術に積極的にチャレンジしたいという思いから採用しました。

いろいろな種類の蓄電池があるなかで、弊社が特に注目したのがサステナビリティと安全性の高さです。レドックスフロー蓄電池は電解液が半永久的に使えるのが特徴。リチウムは充放電の回数に制限があって使い捨てになってしまうので、SDGsの観点からみてもメリットが大きいと思いました。また、電解液が不燃性で火災のリスクが少ないのも魅力でした。

数ある業者からAOIエネルギーソリューションに決めていただいた理由を教えていただけますか?

中川氏:何社かにお声がけをするなかで、SMFL(三井住友ファイナンス&リース株式会社)さんからAOIさんをご紹介いただきました。AOIさんの提案はシミュレーションのパターンが充実していて分かりやすかったですし、必要なときに迅速に動いてくださるので対応力が高いと感じました。メンテナンス等で長いスパンのお付き合いになることを踏まえ、実績が豊富な地元企業という点も重視しました。

工事の規模と工期

工事はどのようなスケジュールで進めましたか?

中川氏:新工場は2022年5月から稼働を開始し、秋のうちに太陽光発電のパネル1960枚を設置しました。補助金を申請していたので2023年1月末が工期のリミットでしたが、新型コロナの影響で物資が入らず、特に蓄電池は材料調達に苦労したと聞いています。そのため蓄電池の搬入が正月明けになり、真冬に急ピッチで組み立てて設置工事をしていただくことになりました。AOIさんをはじめ蓄電池メーカーの担当者さんや北陸電気保安協会の主任技術者さんなど、皆さんのご協力で何とか間に合わせることができて感謝しています。

高圧受電の大規模な蓄電池は弊社も初めての経験でしたが、工事中の弊社の対応はいかがでしたか?

中川氏:今回は特に蓄電池が高額だったので、補助金ありきで計画を進めていました。かなりタイトなスケジュールのなか、業者さん同士でうまく連携をとって工期を守っていただいて助かりました。

AOIさんには補助金の申請に必要な資料作成の面でも大変お世話になりました。担当者さんは蓄電池にも詳しく、難しいこともかみ砕いて説明していただけるので頼りになる存在でした。まめに足を運んでくださるので、分からないことや疑問に思ったことがあると担当者さんを捕まえて質問攻めにしていましたね。

節電効果について

太陽光発電設備の節電・CO2削減効果はいかがですか?

中川氏:5月、6月は天気が良くなってきたこともあり、再エネ率は平均で50%を超えてきています。CO2の削減量も同じく平均50%くらいはありますね。蓄電池があることで夜間も太陽光発電の電力を使うことができますし、万が一本社工場が停電したときも3時間ほどは持たせることが可能です。パフォーマンスはかなり良いのではないかと思っています。

また、昨年は契約電力が500kWを超えていたので大口契約でしたが、今年は500kWを下回り基本料金を下げることができました。現在は高騰した電気料金の値上げ分が太陽光発電の自家消費でまかなえている状況なので、電気にかかるコストとCO2排出量の削減を実現しています。

当社を選んで良かったこと

AOIエネルギーソリューションを選んで良かったことをお聞かせください。

中川氏:地元ということもあり、何かあればすぐに駆け付けるフットワークの軽さが頼もしいですね。関係各所との連携もしっかり取りながら仕事を進めてくれるので助かっています。補助金などの情報もこまめに提供してくださいますし、課題になっている余った電気の活用法もいろいろ提案していただいており、工事後も親身にフォローしていただいています。

最後に中川様とAOI担当者で撮影。この度はインタビューのご協力ありがとうございました!