導入したサービス | 自家消費型太陽光発電システム、省エネコンサルティング |
施工内容 | 太陽光発電設備設置、空調・コンプレッサーの入れ替え |
施工時期 | 2024年12月~2025年12月 |
今回は「福井鋲螺株式会社」様と取り組んだ、太陽光発電設備の導入と空調、コンプレッサーの入れ替えによる電力削減の事例をご紹介します。
環境省のSHIFT事業(工場・事業場の省CO2化加速事業)の補助金を活用した、製造業の脱炭素化のロールモデルとして注目されているケースについて、品質保証部次長の坂口徹様にお話をお伺いしました。
省エネコンサルティングの概要
令和6年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業)企業間連携先進モデルでの自家消費型太陽光発電設備の設置と5拠点での空調とコンプレッサーの入れ替え
お客様の事業内容
御社の事業内容をお聞かせください。
坂口氏:弊社は冷間鍛造という技術を用いた金属部品を製造するメーカーで、精密部品や特殊な形状の部品など、高い技術力を生かした複雑な部品を数多く手がけています。現在は自動車関連のパーツが生産の中心ですが、かつての主力だった家電・通信の分野でも、いまだ蛍光灯ピンは世界シェア80%、アルカリ電池の集電子は国内シェア90%を占めています。

太陽光発電の導入と空調類の入れ替えを行った理由
御社は以前からさまざまな省エネ活動に取り組み、2024年には福井県カーボンニュートラル推進企業の大賞に選ばれています。これまでにどのような活動を展開されてきましたか?
坂口氏:太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの活用を先進的に導入し、2021年に細呂木事業所、2022年に加賀工場、2024年には能登工場にPPA方式で太陽光発電を設置しました。太陽光発電と併用する電力は、CO2排出量実質ゼロの再エネ電気「かがやきGREEN」を採用しています。
また、工場で使用するコンプレッサーのエアー漏れは電力消費量が増える原因になるため、機械の点検作業や改善活動にも力を入れ、太陽光発電の設置と社員の協力の両面から省エネを推進してきました。2025年は2013年時のCO2排出量をゼロにする計画の最終年になりますが、秋ごろには目標を達成する見込みです。さらに、2024年からScpoe3と連携した脱炭素化にも取り組み、自社の経験を取引先と共有し、サプライチェーン全体に活動の輪を広げています。
Scope3とは…企業の事業活動に関連する間接的な温室効果ガス排出量のうち、Scope1(自社の直接排出)やScope2(購入した電力などによる間接排出)以外の、サプライチェーン全体で発生する排出量を指す。
御社が環境に配慮した生産方針に力を入れる理由をお聞かせください。
坂口氏:省エネは早い段階から進めていましたが、カーボンニュートラルに特化した取り組みが加速したのは、2020年に発令された欧州電池規則が起点でした。二酸化炭素の排出量の低減は自動車業界の大きな命題であり、弊社もグローバルな発展に向けて積極的に取り組む必要があると考えています。
欧州電池規則とは…EU域内で流通・使用されるすべての電池製品に対して、製造から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体を包括的に規制する法律。これは従来の「電池指令(2006/66/EC)」を改正・強化したもので、2023年8月に正式に施行された。
今回の工事は、北陸・東海エリア初の環境省SHIFT事業「令和6年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業)」の活用事例として注目されています。この工事をAOIエネルギーソリューションにお任せいただいた理由を教えてください。
坂口氏:AOIエネルギーソリューションには能登工場の太陽光発電設備を施工していただいたご縁もあり、今回もお願いしました。当時、工場内には30年以上使用している空調やコンプレッサーが多数あり、分野の異なる3つの工事を行うことになりましたが、複数の業者をまたぐことで生じる費用面や人員対応面でのリスクを抑えたいという思いがありました。そのため、実績と信頼関係があることに加え、すべての施工とアフターケアをワンストップで担える対応力の高さが決め手になりました。

工事の規模と工期
工事はどのようなスケジュールで進めましたか?
坂口氏:最初に見積をお願いしたのは、2024年5月頃でした。補助金の申請に間に合うように約1カ月という短い期間で工事ごとの見積もりを行わなければなりませんでしたが、設備の選定や作業箇所の確認などをスピード感を持って取り組んでくださりました。また、採択された時に滞りなく工事が進むよう工事計画を作成してくださいました。
第一期工事は2024年12月~始まりましたが、工期の期限が決まっていたためタイトなスケジュールでした。経験豊富なAOIエネルギーソリューションが一元管理で現場をまとめ、効率的に進めてくださったのでスムーズに完了しました。
工事に際して要望したことはありますか?
坂口氏:工場の稼働を止められない状況でしたので、生産活動を続けながらの工事を要望しました。弊社は精密な部品を製造しており、わずかなホコリも異物となり、品質が大きく左右されるため、特に工事中の環境には全面的な配慮をお願いしました。
要望への対応はいかがでしたか?
坂口氏:天井に埋め込まれた古い空調を撤去する際には、天井からの落下物が製品に混入しないよう養生しながら作業を進めるなど、現場の作業員の方にもしっかりと要望が行き届いると感じました。作業内容によっては日曜日に工事を行う配慮もあり、製品に影響が出ることなく設備を交換できました。

節電効果について
空調とコンプレッサーを入れ替えた効果はいかがですか?
坂口氏:節電効果については、昨年の同時期に比べて消費電力が驚くほど下がりました。今年は設定温度を従来の25℃から27〜29℃に上げ、最小限の台数と弱い風力で運転していますが、以前より体感温度が涼しいと喜ばれています。快適に働ける環境を整える意味でも、交換して本当によかったと思います。すべての空調を稼働させなくても十分快適なため、ランニングコストの削減や、設備を交代で使うことで長持ちさせられるというメリットも期待できそうです。
当社を選んで良かったこと
AOIエネルギーソリューションを選んで良かったことをお聞かせください。
坂口氏:細かな要望や厳しい条件を気兼ねなく伝えられるのは、地元企業ならではの親しみやすさが大きいと思います。今回は補助金申請までの期間が短く、見積書や工事計画書の作成、業者の手配など大変だったはずですが、限られた時間の中で要望通りの工事をしていただき、トータルな対応力の高さにとても満足しています。
今後のカーボンニュートラルへの取り組みはどのように展望していますか?そこでAOIエネルギーソリューションに期待することをお聞かせください。
坂口氏:SHIFT事業とは別に経産省の省エネ補助金を活用し、LED照明の入れ替えと未交換の空調などの設備の更新を計画しています。こちらもお力をお借りして、前回の工事同様、生産面に配慮した綿密な工事計画のもと、引き続きご対応いただく予定です。
カーボンニュートラルは環境への配慮や社会貢献だけでなく、生産工程の無駄をなくし、エネルギー効率を上げることで全体のコストを下げる効果があります。それが利益にもつながるので、誰にとってもいいこと尽くしの取り組みだと実感しています。アフターフォローはもちろん、今後も引き続き導入できる良い設備があれば、ぜひご提案いただきたいですね。
坂口様、この度はインタビューにご協力いただきありがとうございました!
